山翠舎のブログ

【お店ができるまで】信州門前ベーカリー 蔵 土蔵リノベーション工事@長野市西之門

2022年01月30日配信

IMG_1971-1こちらは、2021年12月にニューオープンした「信州門前ベーカリー 蔵」さん。

特徴は、築120年以上前の蔵をリノベーションしたパン屋さんなんです。

場所は、長野市西之門(善光寺大本願の南門隣)。1階はベーカリーショップ、2階はイートインスペースになっています。

パン職人による『北アルプスの天然水を100%使用』のこだわり高級食パンをはじめ、『オリジナル門前角ぱん』や、ホットサンドなど種類豊富に並びます。

姉妹店である「cafe winds daimon」に続き「信州門前ベーカリー 蔵」の2店舗とも当社が設計施工いたしました。

今回は「信州門前ベーカリー 蔵」さんができるまでの、土蔵リノベーション工事過程をお届けします。

当社は、古木を活用した飲食店内装工事や、古民家や蔵の移築再生においても実績があります。

経験豊富なスタッフが手掛けた現場をぜひご覧ください。


目次

1,物件取得は『山翠舎オアシス』サービスを利用

2,土蔵の現調 そもそも蔵って何?

3,施工風景 1階:売り場 1.5階:売り場(レジ)、キッチン

4,施工風景 2階:イートインスペース

5,完成写真 外観

6,完成写真 店内

7,山翠舎のSDGs


1,物件取得は『山翠舎オアシス』サービスを利用

今回の物件取得には、山翠舎賃貸のサービス「山翠舎オアシス」を利用しています。

これは、物件オーナー様から空き家などの不動産(今回は土蔵)を、山翠舎賃貸が借上げて、店舗オーナー様に貸し出すサービスです。

詳しくは山翠舎オアシスウェブサイトをご覧ください。

 


〇店舗オーナー様は、株式会社東翔 田中社長

ビアレストランwinds長野をはじめ、長野に飲食店を多数経営されている株式会社東翔 田中正之社長。

田中社長と山翠舎とのお付き合いは25年以上になります。

この度、「cafe winds daimon」「信州門前ベーカリー 蔵」の2店舗の設計施工をご依頼いただきました。


〇現場は善光寺下の好立地

施工現場である土蔵の場所は、善光寺大本願の南門隣に位置しています。

長野県を代表する観光名所でもある善光寺は、年間の参拝者数が700万人を超すと言われています。

▼ちなみに社長が撮影したお正月の善光寺。すごいにぎわい!

善光寺

人通りの多い善光寺周辺は好立地と言えますね。


2,土蔵の現調 そもそも蔵って何?

そもそも土蔵(どぞう)って何でしょう?

土蔵とは防火、防湿、盗難防止の機能を兼ね備えた昔の保管庫です。この土蔵を、単に蔵(くら)と日常的には呼ばれることが多いです。

土蔵は、壁土を何回も塗り重ねて20~30センチメートルの厚さにし、その上を漆喰で塗り上げた耐火建築構造からなっています。

昔の人々は大切な家財や食料などを土蔵に保管して、火事や盗難から守っていました。


2021年11月、当社担当スタッフたちは家主様と一緒に土蔵の現地調査を行いました。

築120年以上の立派な土蔵ですが、現在は倉庫として使われているだけでした。

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▼もう一つが、奥にある土蔵本来の入り口。

この重厚な扉は観音開きになっており、写真では右側扉のみが開いていますが、左側にも同様の扉がついています。

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この扉の厚さからも頑丈さがわかりますね。ちなみに蔵の開口部のことを「蔵戸前(くらとまえ)」と言います。

▼分厚い扉の奥に木でできた引き戸があります。

一般的にこれが「蔵戸」と呼ばれる部分で、金具の装飾がついています。

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▼蔵の中には所狭しと古い書物や家具がたくさん!「なんでも鑑定団」の世界!

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▼階段を上って2階へ。立派な梁が何本もこの蔵を支えています。歴史を感じる家財が数多く眠っていました。

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施工前にはこれらの家財を全て搬出します。ものすごい量でした!!

現調後は、デザイナーや現場監督、店舗オーナー様とのお打合せを重ねて施工図を作成していきます。

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3,施工風景 

いよいよ着工。工事工程をダイジェストでご覧ください!

 

施工データ

業態

飲食店(ベーカリーカフェ)

施工内容 新装
店舗面積 1階/1.5階13.56坪、2階13.16坪 合計26.72坪
構造種別 土蔵

 

 

 

 

 

1階:売り場 1.5階:売り場(レジ)、キッチン

▼1.5階は、基礎工事を行い、その上に新しく床板を張っていきます。

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▼既存階段は撤去し、位置を変更して新設していきます。

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▼新たに階段が設置されていきます。

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▼1.5階 キッチンスペースに壁が設置されました。壁には火や水に強いケイカル板という不燃建材を使用します。

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キッチン内側。換気設備、シンク、冷蔵庫、電磁調理器などを設置していきます。飲食店の厨房というより、簡易調理ができる「作業場」といったイメージです。

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壁には大きなロゴマークが入りお店らしくなってきました!

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名物の食パンをイメージしたロゴマーク。善光寺西之門とマッチする字体でデザインしています。

ロゴ

▼こちらも「食パン」をイメージしたキューブ型の照明が設置されました!

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この日の現場監督さんも「照明がつくと一気に現場がまとまった気がします。照明とは偉大なものです」とコメント!

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4,施工風景 2階:イートインスペース、トイレ

次に2階の工事風景をご覧ください。まずは床を張っていきます。

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▼左側の壁面は、完成後アートスペースとして絵画が飾られる予定になっています。壁を張っていきますよ。

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▼一番高いところの棟木には墨の文字が!当時の職人の手仕事を感じます。

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▼当然ですが土蔵には電気、空調設備などありません。1階、2階ともエアコン設置します。

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▼天井の配管も美しく見えるように設置します。天井は張らずに立派な梁を見せる内装です。

テーブルや椅子も搬入されました。完成間近!

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▼一方、こちらは階段。手すりも設置されました。

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▼2階にトイレも新設します。

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お引渡し直前の12月21日。

現場監督さん「ついに明日が最後の作業日になります。オープン時にはお客様に満足して営業していただけるよう、最後まで気を引き締めて頑張りたいと思います。」と気合い十分!

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5,完成写真 外観

▼歴史を感じる佇まいはそのままに、ついに「信州門前ベーカリー 蔵」が誕生しました!

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▼自然な曲がりが印象的な古木をくぐって入り口へ。

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▼シャッターだった入り口が、木枠の美しいガラス戸に。店内の並んだパンにワクワクします!

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▼さらに奥に進むと、1.5階入り口の蔵戸があります。

観音扉の重厚感と、美しく磨き上げられた蔵戸に、思わず立ち止まって見とれてしまいます。

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▼蔵戸の向かい側につくったお庭は、元々植栽のあった位置を移動させてつくりました。

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6,完成写真 店内

▼1階:木のぬくもりと四角い照明の柔らかい光に包まれた店内。

レトロとモダンがマッチした空間に香ばしいパンの香りが漂います。 

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▼1.5階 レジやショーケースが設置され、奥にはキッチンができました。

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▼2階トイレ

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▼2階イートインスペース。壁面には絵画プリントが飾られています。個性的なテーブルもアートの一部のよう。

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タイムスリップしたような歴史感じる空間で、アート鑑賞と美味しいパンで贅沢なカフェタイムを過ごせます。

善光寺を訪れた際はぜひお立ち寄りくださいね!

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〇店舗紹介

信州門前ベーカリー 蔵

オープン日:2021年12月23日

住所:長野県長野市長野西之門500-12

TEL:050-8883-6606

URL:https://windsnagano.wixsite.com/smb1223


7,山翠舎のSDGs

いかがでしたか。倉庫だった土蔵が、人々の憩いの場として生まれ変わりました。

私たちが手がけたお店がたくさんのお客様で賑わうことはとても嬉しいです!

また、この事例は持続可能な社会の実現に向けた取り組みの一つでもあります。

山翠舎は、古木の付加価値を高めることで、循環型経済で最も重要な「利益」を生み出す仕組みをつくっています。

この『全方よし』のシステムは、「古木」をキーワードに関わる全ての人が「よし」になります。

『全方よし』・・・古民家(土蔵)の所有者⇒店の事業者⇒店の利用者⇒地域⇒SDGsパートナー⇒未来⇒地球⇒社会 の全てが「よし」!

全方よし

古民家に使用されている木材は、すべて国産の無垢材です。

日本の気候風土の中で長い年月をかけて自然乾燥された良質な古木、それらを解体し組み上げる特別な技術。

それは、私たち日本人にとって、失うと二度と元には戻らない大切な財産なのです。

山翠舎は、古民家を職人の手仕事で丁寧に、貴重な部材を管理・保管して再利用しています。

▼こちらのサイトもぜひご覧ください。

古民家移築再生・古民家解体の『古民家.org』


最後に。

完成後の現場監督さんのコメント。

「現場としてはなかなかハードで、たくさんの業者さんや職人の方に無理を言ってやっていただいた部分が多いです。

しかし、最終的には完璧に収まりよくやっていただき本当にすごいなと感謝の気持ちでいっぱいです。

今回の現場での繋がりを大切にし、学んだことを次の現場に活かせるように頑張ります。

関係者の皆さん本当にありがとうございました。」

関係者の皆さまお疲れ様でした!

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