今回は、前回に引き続き「古民家からの用途変更における防火対策」についてお伝えします。
例えば、古民家から宿泊施設への用途変更の際に順守すべき建築基準法、特に人命にかかわる防火対策は細かな規定があり、重要なポイントになります。具体的な例を示してご説明していきます。
少しでもあなたの夢を叶えるお役に立てればうれしいです。
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■以下の古民家を宿泊施設への用途変更する際に必要な防火対策を確認していきましょう!
【古民家データ】 築年数:昭和50年、構造規模:木造2階建、延べ面積:107.50㎡
用途地域等:第1種住居地域、準防火地域
※第1種住居地域:都市計画で定められた用途地域の一つ。建築できる建物は、住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿、兼用住宅、3000m2以下の店舗や事務所、3000m2以下の運動施設や展示場等、公共施設、病院、学校等
※準防火地域では、延焼のおそれのある部分(外壁・軒裏)を防火仕様にすることが要求されます。ちなみに、防火地域と定められた地域は耐火建築物しか建てられません。なので、木造不可となります。
●この古民家は、第1種住居地域のため宿泊施設へ変更可能。
●準防火地域内の必要な防火対策を行います。
非常用照明の設置
非常用照明設備とは、停電時などにバッテリー電源などで、点灯させる電灯のことです。居室、避難通路(廊下、階段)に設置が義務付けられています。これは、火災などの災害時に停電が発生した際に、安全かつ円滑に避難するために設置しなければなりません。
※法改正により、条件によっては規制の適用を受けない居室が加えられました。
”非常用照明器具の設置を義務付けられている場所は、「非常用照明器具の設置基準」でみられるように、主に不特定多数の人が利用する建築物や、大規模な建築物、無窓の居室を有する建築物の居室・避難通路等になります。
その必要照度”と設置間隔は、30分間非常点灯後、床面の水平面照度が白熱電球1lx、蛍光灯で2lx以上となるように設置します。”引用:非常灯.com
防火上主要な間仕切壁の設置
間仕切壁(まじきりかべ)とは、建物内の空間を仕切るための壁のことです。防火上主要な間仕切壁の設置場所については建物用途によって異なり、今回の宿泊施設への用途変更の例においては、火気使用室(料理室)の周囲、避難通路(廊下、階段)と居室との間に設置します。
火災時などに避難経路を確保するために重要な壁になります。
防火上主要な間仕切壁(114条区画)というのは以下を満たす壁になります。
※防火上主要な間仕切り壁は、一定の要件を満たせば免除されます。
"1.【居室の床面積の合計が100㎡以下の階】または【居室の床面積が100㎡以内毎に準耐火構造の壁等で区画された部分】
2.各居室に①煙感知式の住宅用防災報知設備若しくは②自動火災報知機または③連動型住宅用防災警報器が設けられ部分(消防で、住宅用火災報知器の設置が認められない場合があります。)
3.1または2に該当する部分
引用:建築基準法を確認しよう
内装制限
内装制限は、建築基準法では、建物内部の壁紙や天井の防火素材、そして建物外部の廊下や階段の防火素材について規定しています。建物内部で火災が発生した際に、燃え広がることを防ぎ、人命を救助しやすくするために規定されています。
建物の用途、面積によって該当する規定が異なりますが、古民家改修にあたって主に該当するのは、火を使用する調理室等の壁・天井は準不燃材料にする。
延べ面積200㎡以上の規模になる宿泊施設や飲食店の場合は、居室や避難経路を準不燃材料等にする必要があります。
▼山翠舎が熱海網代に古民家を移築再生した物件のキッチン。
古民家からの宿泊施設へ用途変更における防火対策で特に重要な3つをご紹介しました。
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