「たばこ」の問題に向き合うのは店舗オーナーの重要なテーマ
「たばこ」についての議論がますます活発になっています。今年3月には、厚生労働省が健康増進法改正案の骨子を発表しました。それによると、飲食店のうち主に食事を出すレストランや居酒屋は喫煙専用室の設置が認められたほか、主に酒を出すバーやスナックは床面積30平方メートル以下に限り、換気を条件に喫煙が認められました。
施行開始までまだ時間があるようですが、これから出店する、あるいは店内改装を考えている方にとっては無視できない法案です。
東京のような都市部は賃料が高いため、どうしても店舗の規模が小さくなります。経営が成立する客席数と厨房スペースを確保すると、それだけでスペースが埋まってしまうというケースは少なくありません。
一方で、お酒とたばこの両方をたしなむ人はまだまだ多く、禁煙にすると、愛煙家の足が遠のいてしまいます。このため、限りあるスペースを活用してどこに喫煙専用室をつくるか、いかに分煙を成立させるかは店舗オーナーにとって重要なテーマになっています。
喫煙専用室や分煙は助成金の対象。最高で300万円が給付される
当社は、事業計画書を作成する段階で禁煙、喫煙専用室を設置、分煙という選択肢の中からどれを選ぶかを判断していただくように提案しています。
喫煙室の設置や分煙設備は、国や自治体の助成対象になっており、基準を満たすことができれば、前者は上限200万円、後者は上限300万円(東京都の場合)の助成金を得ることができます。
どちらも厳しい審査基準が設けられているため、取ってつけたような設備では満足な金額を得ることはできません。
その点、当社は、喫煙専用室や分煙設備に関して豊富な実績があり、満額の補助金を獲得したケースもたくさんあります。店舗づくりやリニューアルをお考えの方は、ぜひご相談ください。
店内に喫煙専用室を設置したことが愛煙家に安心感をもたらす
ここからは、喫煙専用室と分煙を実施した実例を紹介しましょう。
当社が喫煙室の設置を行ったのは、東京・神楽坂にある「ワイン割烹 神楽坂 宙山(ちゅうざん)」。神戸たん熊北店出身の料理長がつくる伝統的な京料理を、リラックスできる空間で提供する日本料理店です。
店内にある「分煙室」と表示のある扉を開けると、分煙機と換気扇を設置した喫煙室に入室できます。限りある空間の中につくった半畳ほどのスペースですが、接待でもよく使われる店ということもあり、心置きなく吸える場があることで安心して店を利用できると好評だそうです。店側にとっても、この小部屋のおかげで大事な顧客を逃さずに済んだことになり、お客様と店側双方にとって利益のある関係を築くことができました。
空気の流れまで考慮しながら、分煙環境を整備する
東京・高円寺の居酒屋「魚介 ののぶ」も当社が設計・施工を手がけた物件です。10坪弱のコンパクトな空間ですが、喫煙者にも来店してほしいという店主の思いを受けて、分煙に取り組みました。
まず、強力な空気清浄機を設置したうえで、小上がりは喫煙、カウンターは禁煙と分煙しました。さらに小上がりが満席の場合を想定して、カウンターにも状況次第で吸ってもよい席を設けました。換気扇や扉の位置関係などから、店の中にも風上と風下があります。これを見極めるために、蚊取り線香を使って空気の流れをチェックし、カウンターの風下の位置に吸ってもよい席をつくったのです。
禁煙にする、喫煙室の設置する、あるいは分煙環境を整備するという選択は、店舗オーナーに決定権があります。当社としては個々の案件の相談に応じながら、解決策を見出していきたいと考えています。喫煙室や分煙は助成金制度の対象になっており、新規の出店を考えている方にとってはうれしい制度です。
こうした相談にも当社はしっかり対応していますので、お気軽にご相談ください。
※同記事の内容は、「2016年11月発行『料理通信』」において、当社が取材を受け紹介されました。その際に掲載された内容を一部踏まえています。