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【まず知っておきたい制度・法律】古民家活用にあたり適用される法律

2021年10月07日配信

河口湖ゲストハウス2こんにちは。唐鎌(からかま)です。↑この写真は、山翠舎が古民家を移築再生した河口湖ゲストハウス(施工事例リンク)です。古民家ならではの落ち着いた空間ですね。自然に囲まれてゆっくりと時の流れを感じられます。

さて、今回は、前回に引き続き「古民家活用にあたり適用される法律」についてお伝えします。法律と聞くと難しそうですが、ここをしっかり理解してしかるべき手続きを行わないと、法令違反により罰則を受ける可能性があります。

そうならないためにも重要な法律をピックアップしてお伝えしますのでぜひ一読ください。少しでもあなたの夢を叶えるお役に立てればうれしいです。

▼前回の記事をご覧になりたい方はこちら▼

【知っておきたい制度・法律】古民家活用(再生)までの流れと施工業者の選び方


まず古民家の用途を明確にしよう

取得した古民家を住居として利用する、宿泊施設にする、飲食店や物販店にするなど、用途に応じて適用する法令が異なります。まず古民家をどのように再利用するのか用途を明確にしたうえで、以下の3つに注意していきましょう。

1,立地場所・地域に注意


「都市計画法」において、市街化調整区域での建築行為や飲食店の営業行為が制限されます。
「建築基準法」において、12種類の用途地域によって建物の床面積などが制限されています。

▼規制の詳細は市町村または県の関係機関にお問合せください。

建築物のりっちなどを制限する法令
このように、「古民家を改装してレストランをオープンしたい!」と計画している場合。そもそも飲食店を建築しても良い場所なのか。また、用途地域によっては面積や階数の制限がありますので改装工事の前に必ず確認しましょう。


2,古民家は現行の建築基準に適合していないので注意!

古民家は建築当時の建築基準で建てられているため、現行の建築基準に適合していないことが多く、宿泊施設や飲食店などに用途変更する場合、原則として現行の建築基準に従って改装工事を行わなければなりません。改装工事の際は専門家への相談し検討しましょう。

思ったよりも工事費用が高くなりそう・・・。と気持ちがしぼんでしまいそうですが、

◆ここでポイント!改正建築基準法によって耐火規制を合理化、用途変更が容易になった!

平成30年6月27日に国土交通省により建築基準法の一部が改正されました。

▶日本住宅新聞記事引用~耐火規制を合理化、戸建住宅の施設等への用途変更容易に~ 改正建築基準法が全面施行

【改正内容】延べ面積200㎡未満で階数3以下の戸建住宅などを、宿泊施設や飲食店など〝特殊建築物用途〟に転用する場合の防耐火規制を緩和。

改正前は、柱や梁を耐火構造に改修しなければならず、不燃材である石膏ボードで木材で覆うなど大規模な工事をしなければなりませんでしたが、200㎡未満で、3階建て商業施設、宿泊施設、福祉施設について耐火工事は不要になりました。ただし、警報設備の設置、階段の安全措置は必要なのでご注意ください。

改正建築基準法

 

【改正内容】建築確認が不要となる上限規模は200㎡までに緩和。

「建築確認」とは?

建築主は、建物を建築する前に、その建物が法令に適合しているものかの確認を受けなければなりません。この確認を「建築確認」と言います。これが大変手間のかかる手続きです。法施行前に建てられたことを証明するために、棟札や戦前の建物が写る写真が必要であったり、図面や書類一式を用意しなければなりません。建築当時の書類が残っていることはほとんどなく、あらためて専門家に作成してもらわなければなりません。

また、確認申請の期間については、木造2階建て以下の住宅で何も問題がなければ最短1週間程度。これが特殊建築物では1ヶ月以上かかると言われています。さらに、書類訂正などの指示があれば再提出をしなければなりません。

この確認申請が改正前:上限100㎡ ⇒ 改正後:上限200㎡ に緩和

改正前は非常に小さい規模の用途変更の場合のみ、建築確認申請不要とされていましたが、
規制緩和することで増加する空き家の再利用を促進する目的から上限200㎡と法改正が行われました。日本の戸建住宅の9割が200㎡以下と言われていますので、上限内におさまるケースがほとんどです。ただし、200㎡超の場合は建築確認申請が必要です。

改正建築基準法2


3,許認可に関する手続きを必ず行ったうえで工事着手!

先ほど述べた建築確認もそうですが、古民家等を取得して用途変更や増改築を行う前には、関係機関への許認可手続きを行ったうえで工事着手しなければなりません。その後、飲食店や宿泊施設の営業を始めることになります。

▼また、これらの関係法令は、建築基準法の検査済証や建築確認済証が交付されないと営業できない、あるいは、消防の同意がなければ建築確認済証が交付されないなど、相互に関係しています。(下の表は長野県の場合ですが、ご自身の県や市に確認することをお勧めします)

主な法令手続き概要

▼検査済証のサンプル

検査済証サンプル

 

▼用途ごとに適用される法律

建築物の構造・設備に関する制限や基準を規定する法令

表からわかるように、飲食店として古民家を活用する場合は、食品衛生法、風営法が主に適用がされます。ただし、飲食店と言っても、喫茶店なのか、居酒屋やバーのようにお酒を提供するのか、深夜0時以降も営業をするのかなど、飲食店にも様々な形態があり手続きが異なります。管轄の保健所へ相談することをお勧めします。


まとめ

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1,立地場所・地域に注意 ⇒その地域は建築許可されているか、床面積などの制限があるか確認しましょう。

2,古民家は現行の建築基準に適合していないので注意! ⇒増改築の際は現行の建築基準に合わせた改装工事が必要です。

◆ここでポイント!改正建築基準法によって耐火規制を合理化、用途変更が容易になった!

【改正内容】3階建て以下&延べ面積200㎡未満での戸建住宅などを、宿泊施設や飲食店など〝特殊建築物用途〟に転用する場合の防耐火規制を緩和。

【改正内容】建築確認が不要となる上限規模は200㎡までに緩和。

3,許認可に関する手続きを必ず行ったうえで工事着手! ⇒用途に応じて適用される法令も異なるので確認しましょう。


いかがでしたか。改正建築基準法の規制緩和により古民家活用が以前に比べて容易になったことはうれしいですね!

今回の記事には様々な法令があり難しいと感じた方もいらっしゃると思います。実際に手続きを行うには書類作成、各種の窓口への申請などやることはたくさんあります。でも、これは夢を叶えるために一つずつクリアしていきましょう。

山翠舎では、これまでに飲食店の施工実績を増やすと同時に、数多くの開業支援も行ってきました。開業者様は初めてのお店づくりでわからないこと、不安がたくさんあります。私たちは、事業計画、物件探しから設計・施工まで一貫体制でご支援いたします。

ご相談を随時受け付けておりますのでお気軽にご相談くださいね。

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引用:長野県HP長野県『古民家等活用マニュアル』

引用:日本住宅新聞記事~耐火規制を合理化、戸建住宅の施設等への用途変更容易に~ 改正建築基準法が全面施行

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