山翠舎のブログ

【成功のヒント】お店のコンセプトに合った「カウンターづくり」

2017年06月18日配信


飲食店のカウンターづくりでは、4つのポイントを押さえる

意外に見過ごされがちですが、カウンター席のつくり方は、店舗の売り上げに大きく影響します。とくに面積が10坪前後で、多くても20人以内のお客さんしか着席できない飲食店で、カウンターがメインスペースのお店の場合、「どんな店にしたいのか」という店主の想いを、カウンターのつくり方に反映することが大切です。お客さんはそのカウンターで、自分にとって居心地がよい店かどうかを判断しているかもしれません。

仮に店舗を借りる時に「居抜きでお得な物件!」見つかったとしても、内装のデザインはもちろん、カウンターのつくりが店主のコンセプトに合致しているかどうか、じっくり検討することが大切です。今回は、カウンターに関して、①形状、②高さ、③奥行き、④付け台という4つのポイントに絞ってご説明します。

まず、①形状から検証してみましょう。かつて居酒屋は「コの字」型のカウンターが主流だった時代があり、「コの字酒場」などと呼ばれていました。店主やスタッフは、中央通路にいるだけですべてのお客さんの様子がわかるため、会話が弾み、店内はいつもにぎやかでした。お店の広さなどの関係で、都市部ではコの字酒場を見かけることは少なくなりました。現在の主流はL字やI字型のカウンターで、カウンター席のお客さんは料理人を兼ねた店主が接客し、テーブル席や小上がりを備えた店の場合はホールスタッフが接客を担当します。

次にカウンターの②高さを考えてみましょう。一般的な高さは70㎝ほどで、お酒や食事をじっくりと楽しむ小料理屋、居酒屋などで多く採用されている高さです。高さが90~100㎝になるとハイカウンターと呼ばれ、その高さに適したハイスツールを用意したり立食形式にしたりします。腰を落ち着けるという雰囲気にはなりにくいため、お客さんを早く回転させたいバーや立ち飲み屋さん、クラブなどに多く用いられています。


付け台を見ればわかる、店主とお客さんの距離感

続いて③奥行きはどうでしょうか。カウンターの奥行きは、厨房や作業スペースの大きさによって変動します。料理にこだわるお店の場合は、広い厨房を求められるため、カウンターは十分な奥行きを確保するのが難しくなります。カウンターの奥行きが50㎝を切るようですと、お客さんは落ち着かない雰囲気になるでしょう。

お店がどんな料理を出すかによっても適性のサイズは変わります。お酒がメインで、料理はちょっとしたつまみ程度という店なら、奥行きが短くてもよいでしょう。店主との距離が近くなり、会話を交わしやすくなります。一方で、定食や小皿料理などを出すお店の場合、奥行きが短いと料理皿でスペースがすぐに埋められてしまうので、どうにも食事がしづらい、居心地がよくないといった感じになります。まだ料理が残っていても、「狭いから早く下げてもらおう」と考えるようになり、落ち着きません。

最後に、④付け台について検討してみましょう。付け台とは、寿司屋や小料理屋などにあるカウンター奥の一段高くなっている部分のことです。

付け台を見れば、店主がお客さんとどう接したいのかがあ分かります。寿司屋では、カウンターの15cmくらい上に付け台を設置するのが一般的です。これ以上高くすると、お客さんは食べにくくなります。一方でラーメン屋などの場合は、付け台を比較的高く設定した店が多くなります。付け台が高くなると、必然的に厨房(店主側と)とお客さん側の境界線の印象が強くなるので、店主はお客さんとコミュニケーションをとりにくくなります。また、お客さんの回転速度にも影響が出ます。コミュニケーションが取りにくければ、お客さんは食べたらすぐに退店していきます。こうしたことを狙って、あえて付け台を高めに設定する場合も大いにあります。

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反対に、付け台を低くするとお店とお客さんの境界線も下がるため、互いに話しかけやすくなります。付け台を設置しない場合には、店主とお客さんの距離はさらに接近します。このため、常連客が出入りするようなお店では、付け台を置かないケースが多くなります。しかし、常連でないお客さんにとっては、店主との距離の近さを窮屈に感じるかもしれません。

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どういう使い方をするかによっても、付け台のチョイスは変わります。例えば、大皿におかずを乗せて提供する、いわゆる「おばんざい(お晩菜)」スタイルの場合、低くて幅広の付け台を採用すると使いやすくなります。あるいは、付け台を置かず奥行きのあるカウンターを用意するだけでよいかもしれません。


居抜きで借りた店舗を開業する際に注意すべきこと

冒頭で述べたように、カウンターの高さや奥行き、付け台の高さによって、お店の雰囲気やコンセプトは一変します。

現在のカウンターの主流はL字やI字型です。カウンター席のお客さんは料理人を兼ねた店主が接客し、テーブル席や小上がりがある店ではホールスタッフが接客を担当します。信頼のおけるスタッフを配置できる場合、店主は安心して料理作りに集中できます。しかし、ホールスタッフが不愛想だったりサービスが行き届かなったりすると、客足はすぐに遠のきます。あらゆる物事に点数やランク付けが行われるいま、どれほどおいしい料理を提供しても、サービスがまずければ高評価は得られないからです。

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テーブル席や小上がりを利用するお客さんへのサービスに配慮しつつも、最小限の優秀なスタッフで店舗を効率よく繁盛させるためには、カウンターをはずれの席ではなく、「人気の席」「居心地のよい席」にすることが大切なのです。

カウンターの位置が高い物件の場合は、床全体をかさ上げして、お客さん側のカウンターの高さを結果的に下げることもできます。ただし、厨房側を上げることはできないので、お客さんと厨房側で目線の高さに違いが生じることがあります。また、天井の低い店で床をかさ上げすると、お客さんは天井をいっそう低く感じ、息苦しい印象を与えることになるため注意が必要です。隣の椅子との距離、照明やトイレ、壁の位置なども検討材料です。満席になったとき、カウンター席の居心地はどうなのかをしっかりイメージすることも大切です。

考慮すべき点の多いカウンターづくりは、店舗デザインの経験が豊富なデザイナーに相談するのがもっとも正しい方法です。客足にも大きく影響するので、おろそかにしないで最善のカタチを採用しましょう。その点、山翠舎には経験豊富な店舗デザイナーが揃うので、安心してご相談ください。お店のコンセプト、どんな料理を出すのか、お客さんとの距離感をどう考えるのか。これらすべてをじっくりとヒアリングしたうえで、カウンターづくりを含めた繁盛店となるポイントをご提案いたします。

「たかがカウンター、されどカウンター」

成功の秘訣は店の細部に宿っているのです。

 

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