今回は、熱海にある旅館「竹林庵 みずの」オーナー・渥美よしひささんに、お話を伺いました。
Q.山翠舎を知ることになったきっかけは、何だったのでしょう?
以前、東京の調布で素晴らしい内装のレストランに出合いました。古材の鑑定は難しいものです。私は目利きでも建築家でもありませんから。それでも、この内装のよさは、すぐに体で感じました。
どこの会社が手がけたのかを尋ねると、山翠舎さんだと教えてもらいました。ちょうど熱海の旅館のオーナーになったタイミングで、施設の全面的な改修を考えている時期でした。
「こういう仕事をしている会社なら信頼できる!」と考えて、翌日には長野市の本社へ。とても皆さん気さくで、初対面でしたけど、会長とはすぐに意気投合しましたね。
Q.「竹林庵 みずの 別邸」は古材を豊富に使っています。古材に魅かれた理由は何だと思いますか?
「竹林庵 みずの 別邸」は熱海にある温泉宿ですが、この周辺には古材を本格的に使っている宿がないんです。フロントに少しだけ古材を使っているところはあるけれど、わざわざ地方から移築してまで造っている宿はどこにもない。
そもそも私の場合、35年前に造った自宅も古民家建築でした。ですからこの宿は、自分が暮らしたい空間をテーマにつくりたかった。
山翠舎さんにその思いを伝えたところ、新潟県上越市に手ごろな古民家があると連絡があり、すぐに見学に行きました。そこでひと目ぼれしたのが、実際に使われていた「鉄砲梁」。
鉄砲梁は、雪の重みに耐えるうちに根本から曲がった木材のことですが、この梁は、現在フロントや客室でお客様をお迎えしています。私はこうと決めれば早いのです。信頼があれば、何事も素早く展開していきます。
Q.改修後に宿泊されたお客様の反応はいかがでしょう?
「竹林庵 みずの 別邸」は、築100年を超える2棟の古民家を移築、再生しています。エントランスに入ると、高い天井や重厚感たっぷりの梁がお客様を出迎えるので、別世界に来たような感覚を味わわれると思います。
使っているのはすべて本物の古材ですから、歴史や風合い、息遣いが素材の中に充満しています。別邸の場合、客室は3つなので、今回はこの部屋を予約したけれど次回は違う部屋に泊まりたいと言っていただけるのがうれしいですね。リピーターは、宿のサービスにご満足いただけたことの証明ですから。
真面目に一生懸命サービスしたスタッフに対する感謝の現れとも受け取ることができます。
建物に誇りが持てると、スタッフの仕事に対するモチベーションが向上するんです。
Q.改修後に収益面はどう変化しましたか? そして今後の展開予定は?
「竹林庵 みずの」は、山翠舎でリニューアル工事を行った本館と、2つの古民家を移築して新たに造った別邸で構成されています。ありがたいことに、山翠舎さんで改装後は、お客様の単価は2倍近くになりました(2万円前後→3.7万円へ)。
最近はよく外国人客の動向を聞かれます。たしかに若干増加していますが、大事なのは外国人客を呼び込むことではなく、日本人客にきちんと評価されることです。
それよりも足元をしっかり固めることが重要です。
古材のよさを理解し、当旅館のファンになってくれるお客様をこれからも大切にしていきたいですね。