こんにちは。唐鎌です。梅雨入りのニュースが気になる季節ですね。
さて、この写真には何本の古木が使われているでしょうか?
2本!?
いえいえ、正解は3本でした!
横に掛かる梁は1本が貫通しているのでなく、右の古木、中央に立つ古木、左の3本なんですよ。
古木選定~現場設置完了まで
では、どのようにして設置したのでしょうか?古木が大町倉庫で選ばれるところからご紹介します。
1、古木の選定
当社は長野県大町市に4000本もの古木を保管する大きな倉庫を持っています。
連日遠方から多くの見学者が訪れ、圧倒的な古木の量やスケールの大きさに皆さん驚きます。
今回の施工現場は、表参道にある美容院ソル・エ・テラさん。今回の改装にあたり、オーナー様と娘さんではるばる長野の大町倉庫まで足を運んで古木を選んでいただきました!
▼大町倉庫工場の様子
この中から選ぶなんて宝探しのようですね☆
無事に古木が決まりました。運命の1本に出会えて良かったです!
大町倉庫工場の見学可能ですのでお問合せくださいね。
2、工場での加工
次に選定された古木は工場で加工されます。
倉庫に置かれている古木は、もともと柱や梁、床板として長年家を支えていた木材です。
よって、囲炉裏でいぶされ、すすで真っ黒になったまま保管されています。
選ばれた古木は、丁寧に丁寧に磨かれることで独特な色つやが出て、美しい表情が浮かび上がるのです。
まるで色を塗ったように見えますが、塗装はしていません。
▼惚れ惚れする美しさ・・・。
また、デザイナーさんが設計した図面をもとに長さ調整などを行います。
3、現場での施工
いよいよ古木が実際の店舗へ運ばれて設置されます。長野から東京まで長い古木を積んでトラックで運ぶのも慎重に行わなければなりません。
工場で加工した古木は、さらに現場での微調整が必要です。
▼この現場では、垂直に立てている古木が床から天井にピタリとはまるように、
このように職人さんが端を少しずつ削っています。わずかでも削りすぎたら取り返しがつきません。経験豊富な職人さんだからこそなせる仕事です。
▼まず、垂直に古木を立て、その次に横方向に梁(まず右側)を組みます。何やらでかいハンマーのような道具を使っていますね。
これは「かけや」と言って、これで梁や柱を組むときに使われる道具です。こんなに大きな道具をふらつかずに扱うのも簡単なことではありません。
しかも長い年月建物を支えてきた古木は本当に重い!
成人男性3人がかりで取り付けていますね。皆さん日頃から鍛えられていて肩や腕がムキムキです(筋肉ステキ)!
▼次に、右側の梁が完了したら、左側からも1本ずつ差し込むように組んでいます。
横から差し込む部分は、木の断面に合わせて鑿(のみ)で削っていますね。
寸分の狂いなく組み合わさるように削るには職人さんの技が光ります。わずかな隙間も許されません。
▼無事に梁を設置できました!ピシッとはまってます!
ずいぶん曲がった柱だなあ~
って、気づいた方はするどい!
こちらの現場の場合、柱のように垂直に立てた太い古木はもともと柱ではありませんでした。
古民家の屋根を支えるために、柱と柱を横方向に渡す梁(はり)として使われていたものです。
このどっしりとした太さと曲線を生かして、梁をあえて垂直に立てて設置しています。
存在感と躍動感がグッと増します!デザイナーさんの手にかかるとこんな古木の見せ方ができるんですね~。その分職人さんが大変かも・・・。
▼一仕事終えたあとの皆さんはとてもイイ表情です!
簡単にですが古木選びから施工までを説明しました。
これはほんの一例です。一つの工程だけでももっともっと奥が深い世界が広がります。
切り揃えられた木材だけを扱えば、もっと短時間で、こんなに手間暇をかけることなく施工が可能です。
しかしながら、古木そのものの形を生かして丁寧な手仕事を加えるからこそオンリーワンの空間ができあがります。
10軒あったら10通りのお店づくりがあり、それぞれにストーリーがあります。
▼ソル・エ・テラさん改装工事はこちらの記事もぜひご覧ください。
【施工現場】表参道 ソル・エ・テラ 古木の設置はめっちゃ重い!!