突然ですが、あなたは家の「柱」をじっくりと見たことがありますか?
私の古い実家には家の中に柱が何本もあって、弟と背比べをした線が残っています。
一方で、私の自宅(築浅の賃貸住宅)には柱がありません。
この違いは何でしょうか?
これは、木造住宅における仕上げの違いによるものです。
現代の木造住宅は、壁や天井にクロス等の仕上げ材が貼られていて柱が見えない仕上げになっている住宅が多く採用されています。
この仕上げを『大壁(おおかべ)』と言います。
私の自宅も、壁や天井が全てクロス貼りで仕上げてあるために柱が見えないのですね。
これに対して、昔ながらの日本家屋や伝統建築で造られた建物は、柱や梁がむき出しで見える仕上げになっており、
これを『真壁(しんかべ)』と言います。
古民家の建築は、在来工法が主流であり真壁仕上げです。
むき出しで見えているため、柱や梁は上質で見栄えの良い木材を使用します。
「大黒柱」と「恵比寿柱」
「大黒柱(だいこくばしら)」という言葉を耳にしたことがありますよね。
古い民家では、土間と床上の境目で、家の中心近くとなる場所に「大黒柱」を立てていました。
大黒柱には家全体の重みを支える役割があるため、
最も太い木材が使われています。
その重要さから、大黒柱は家の守り神のようにあがめられていました。
そして柱の近くには、富を呼び込む神様である大黒天を祀っていたため、「大黒柱」という名がつけられたのです。
▼大町倉庫工場に保管されているケヤキの大黒柱
また、大黒柱と一対にして立てられる柱を「小黒柱」と呼びますが、
この小黒柱は、大黒柱に次ぐ2番目に大事な柱です。
七福神の大黒様と一緒に信仰される恵比須様にちなんで、
「恵比須柱(えびすばしら)」と呼ばれています。
大黒柱も恵比須柱も、かつてその家に住んでいた人々をずっと見つめてきた存在と言えます。
引用:代表山上浩明:著『‶捨てるもの″からビジネスをつくる』第1章 捨てられるものを磨こうー1本の柱が店のシンボルとなる(P52)ーより
新たな価値の創造「1本の柱が店のシンボルとなる」
山翠舎では、古民家から丁寧に取り出した良質な柱や梁を店舗の内装材として再利活用しています。
以下に大黒柱や恵比須柱を再利用した施工事例をご紹介します。
▼「和風牛肉料理まつもと」さまの事例。
料理人にとって厨房は神聖な場であり、舞を舞うがごとくパフォーマンスする「舞台」。お客様は「観客」。
カウンター廻りを1段上げて舞台に見立て、そのまわりを江戸時代の匠が仕上げた古木の大黒柱で囲み、舞台を表現しています。
▼「ふらっと日な田」さまの事例
古民家で恵比須柱として使われていた古木をカウンター内に移築しています。カウンター越しに見える古木の柱が印象的。
敷地面積が限られた都市部の店舗でも、お店のシンボルになるような古木を1本使うだけで大きな効果が得られます。
特に、ストーリー性があって、見た目も見事な大黒柱や恵比須柱を使えば、
お店の雰囲気を牽引し訪れる人を和ませてくれるはずです。
なお、山翠舎では恵比須柱を人を呼び寄せたり、福を集めたりする縁起の良い柱だと考え、
商売繁盛のシンボルとして「恵美寿柱」と商標登録し、
お店で使われることのストーリー性を大事にしています。
引用:代表山上浩明:著『‶捨てるもの″からビジネスをつくる』第1章 捨てられるものを磨こうー1本の柱が店のシンボルとなる(P52)ーより
いかがでしたか。
現代の住宅では目にする機会が少なくなってしまった「柱」。
古民家に使われていた柱は、永い年月を家の荷重や厳しい風雪にも耐え続け、
人々の暮らしを支え続けてきたのです。
その力強さ、重み、存在感、深みのある色あいとツヤ。
そして、古木は人の心を和ませてリラックスさせる唯一無二の存在です。
山翠舎では、「家を支えるため」に使われてきた柱を、
「お店のシンボル」として活用することで新しい価値を創造しています。
ぜひ、私たちの携わったお店を訪れて古木の柱に見て触れて、心地良さを感じていただけたら嬉しいです。
最後に。
この記事は、弊社代表山上の書籍『‶捨てるもの″からビジネスをつくる』より引用いたしました。
ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。
タイトル『"捨てるもの"からビジネスをつくる』 山上浩明 著
「ガイアの夜明け」(テレビ東京系列)で紹介!
放置「古民家」が宝の山に変わる
メディア大注目のサステナブルなビジネスモデル!